◆詞 し ことば


◆廓詞(くるわことば)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BB%93%E8%A9%9E
江戸時代の遊郭で遊女が使った言葉・言葉遣い。
里詞(さとことば)、花魁詞(おいらんことば)、ありんす詞(ありんすことば)などともいった。
「ありんす」は「あります」の音変化で新吉原の遊女が用いた。
「なんだか、ご法事にあふやうでありんす」(黄表紙『無益委記』)などと出身を分からなくするために使われ、
新吉原は「ありんす国」とも呼ばれた。

概略
江戸吉原の廓詞の起源については、『北女閭起原』では、「ここなる里言葉は、如何なる遠国より来れる女にても、
この詞を使ふ時は鄙の訛抜けて、古くより居慣れたる遊女と同じ様に聞ゆるなり。さればこの意味を考へていひ
習はせしことなりとぞ」といい、『江戸花街沿革誌』によれば、「元吉原遊女の言葉を見るに、その頃侠客社会に
行はれたる六方詞とやや相似たるが如し」、「その後侠名廃るると共にかくの如き野朴の言葉は地を払つて後世の
里言葉と称するものを生じたり」という。

元吉原時代からの最もひなびた廓詞は、
「よんできろ」(呼んでこい)、
「はやくうつぱしろ」(急げ)、
「いつてこよ」(行つてくる)、
「あよびやれ」(ありき)、
「ふつこぼす」(こぼす)、
「けちなこと」(悪いこと)、
「こうしろ」(さうせよ)、
「うなさるる」(おそはるる)、
「むしがいたい」(腹が痛い)、
「よしやれ」(しやんな)、
「こそつばい」(こそばゆい)、などであり、
その頃の吉原言葉で作られた歌に、
「おさらばえ、のしけおさうり、こわせうし、そふさこうさは、おつかないかな」
「そふすべい、こふすべいまた、さつちやのはて、ふていことかな、やつちやなりけり」
などがあり、これがしだいに洗練されていった。

その変遷を示せば以下のとおりである。

明和
おかさんに、おゐらんでおッしやりんす、昼ほどはゆるりとお眼にかかりんして、おうれしうおざんす(明和版『遊子方言』)
安永
どふでもしひせうから、今度ひとりで来なんしほんへ(安永版『乗合船』)
天明
あれ見なんし、お星さんが飛びいしたよ(天明3年(1783年)版『柳巷訛言』)
朝の戸さんがおッせェす、約束の物持つておいでなんしたかと。あれさおよしなんし、まだいふことがざんすヨ(天明8年(1788年)版『客衆肝胆鏡』)
寛政
何から何までぬしの介抱、死んでもわすれはいたしんにへ。なんのまあ、ばからしふおざりいす、灸すへの文句のとほり、世話になるのをあねといひ、憂をかたるを妹と、名を呼びかはす流れの身は、世話になつたりまたしたり、互ひのことでおざりんすもの、そんなことに心づかひをなさりんすな、さあくすりをおあがんなんしへ。(寛政3年(1791年)版『娼妓絹※』(※は竹冠に「麓」))
お前さんの身の詰ることでおざんすから、随分心で心を叱つてもちつと張りを持つておいでなんしと申しいしたら、涙をこぼしておききなんした、思ひ出しいすと私が胸は一ぱいに張り裂けるやうになりいす。(寛政11年(1799年)版『傾城買談客物語』)
文政
あんな客人はこつちから突き出しておしまひなんし、主やァいい気になつておいでなんすが、ほんの利いた風をいふ客人でおざりいす、うぬ惚れきつて受けさせるうちが、しみじみ好かねへといつちやァおざりいせん(文政5年(1822年)版『出放題無知哉論』)
天保
なんでもようざます、早く片づけてお休みなまし、こどもはどうしいした。(天保8年(1837年)版『春告鳥』)
こないだは主を客とおもひせんもんざますから、つい外の客をしまつてから、ゆつくり主とつもる話をしいしやうと楽んでをりいしたものを、それに主も昨日や今日のなじみでもおあんなんすまいに、人の気も知らないで、主がさう気強くなさりいすと、いつそ悲しくなりいす。(天保8年(1837年)版『つづれの錦』)
明和頃まで「ゆきなんせ」、「きなんせ」と言ったのが安永に「きなんし」、天明に「おいでなんし」となり、化政に「おいでなんしェ」、「きなんしェ」となり、「おざんす」、「ざんす」は「おざりいす」、「おざりんす」などと変じた。「ん」の音便を用いることが吉原言葉の特徴で、式亭三馬は『嘘字尽』でオイランダ国またはアリンス国の語であるなどと戯れたが、「ん」の音便は古くは京都の遊郭で行われ、近松門左衛門が、あのござりんすが呑みこまれぬと書いているから、京言葉から転訛したものであろうという。
 
◆詞
音シ
訓外ことば
意味
①ことば。また、文章。詩歌。「詞藻」
②日本文法で、単独で文節を構成することのできる語。「動詞」「名詞」 対辞

下つき
・歌詞(カシ)
・賀詞(ガシ)
・作詞(サクシ)
祝詞(シュクシ)
・(のりと)
・頌詞(ショウシ)
・誓詞(セイシ)
・台詞(ダイシ)
・(せりふ)
・通詞(ツウジ)
・訳詞(ヤクシ)

「詞」から始まる言葉
△詞(ことば)
△詞書(ことばがき)
△詞花・詞華(シカ
)△詞藻(シソウ)
 
◆言葉は、ことばと呼ばれるもの全てを指す、大きな区分。

その内の一部を詞という。

詞がどういう種類のものか限定して(詞を修飾し)、文法における名詞、動詞、品詞といった「言葉の種類」を指したりします。

また、詞には「うた」という意味があり、「祝詞;のりと(神社でお祓いや祈願する時などに唱えられる、神道のうた)」「作詞(うたを作る)」などのように使います。

また、「作詞」と「作詩」がありますが、明確な違いはありません。但し、慣例的に、「作詞は既にメロディーがあって、曲に合わせてうたを後から書いた場合」「作詩はうたが先にできて、それに合わせてメロディーを考えた場合」を指すようです。

言葉は大きな区分、
詞はその種類を限定する場合に使われる
のだと思います。
 
◆こと‐ば【言葉/▽詞/▽辞】の意味
1 人が声に出して言ったり文字に書いて表したりする、意味のある表現。言うこと。「友人の―を信じる」
2 音声や文字によって人の感情・思想を伝える表現法。言語。「日本の―をローマ字で書く」
3 文の構成要素をなす部分。単語。また、語句。「―が豊富だ」「一々の―を吟味して話す」
4 言い方。口のきき方。口ぶり。言葉遣い。「荒い―」「―に注意しなさい」
5 必ずしも事実でないこと。言葉のあや。
「塵 (ちり) を結んでと言うたは、―でござる」〈狂言記・箕被〉
6 (詞)謡い物・語り物の中で、節をつけない非旋律的な箇所。
7 (詞)物語・小説などの中で、会話の部分。
8 (詞)歌集などで、散文で書かれた部分。
 
類語
言語(げんご) 言辞(げんじ)
関連語
辞(じ) 言(げん) 言の葉(ことのは) 語(ご)
下接語
・合い言葉・東(あずま)言葉・遊ばせ言葉・遊び言葉・天地(あめつち)の詞(ことば)・田舎言葉・忌み詞・入間詞(いるまことば)
・入れ詞 歌詞(うたことば)・売り言葉・絵詞(えことば)・江戸言葉・沖言葉・買い言葉・替え詞・書き言葉・隠し言葉
・掛け詞・翳(かざ)し詞・重ね言葉・京言葉・口言葉・国言葉・繰り言葉・郭(くるわ)言葉・御所詞・ざあます言葉・逆さ言葉
・里言葉・為做(しな)せ言葉・正月言葉・序詞(じょことば)・女中詞・捨て言葉・制の詞・添え言葉・通り言葉・土地言葉
・謎(なぞ)言葉・逃げ言葉・女房詞・挟み詞・花言葉話し言葉・早口言葉・早言葉・囃子詞(はやしことば)
・流行(はやり)言葉・武士詞・べいべい言葉・褒め言葉・枕詞(まくらことば)・御国詞(みくにことば)・武者詞・文字言葉
・休め言葉・奴詞(やっこことば)・山言葉・大和言葉・吉原言葉・六方(ろっぽう)詞
 
◆ろっぽう‐ことば〔ロクパウ‐〕【六方▽詞】の意味
江戸時代、六方組などが好んで用いた、荒っぽい特殊な言葉遣い。関東方言に基づく粗野な武家言葉の一種。
「なだ(涙)」「こんだ(事だ)」「ぶっかける(打ちかける)」などの類。
 
◆よしわら‐ことば〔よしはら‐〕【▽吉原言葉】の意味
江戸吉原の遊郭で、遊女などが使った特殊な言葉。さとことば。ありんすことば。
 
◆やまと‐ことば【大‐和言葉/大‐和▽詞】の意味
意味
1 日本固有の言葉。漢語・外来語に対していう。和語。やまとことのは。
2 和歌。やまとうた。やまとことのは。
「その―だに、つきなくならひにければ」〈源・東屋〉
平安時代の、上品な言葉。雅言 (がげん) 。
「それこそもう―でお人柄におなり遊ばすだ」〈滑・浮世風呂・三〉
 
◆やま‐ことば【山言葉/山▽詞】の意味
1 忌み詞の一。猟師・きこりなどが、山に入ったときだけ用いる特殊な言葉。水を「わっか」、狼を「やみ」などという類。
鷹匠 (たかじょう) が用いる特殊な言葉。鷹詞 (たかことば) 。
 
◆やっこ‐ことば【▽奴▽詞】の意味
江戸時代、奴2や侠客 (きょうかく) が使った言葉。
「涙」を「なだ」、「冷たい」を「ひゃっこい」、「事だ」を「こんだ」という類。六方詞 (ろっぽうことば) 。
 
◆やすめ‐ことば【休め言葉】の意味
詩歌などで、特に意味はないが、調子を整えるために置く言葉。休め字。「山の山鳥」の「山の」のようなもの。
 
◆もじ‐ことば【文字言葉/文字▽詞】の意味
女房詞のうち、ある語の頭の一音ないし二音に「もじ」という語を付けたもの。
「かもじ(=髪)」「そもじ(=そなた)」「はもじ(=はずかし)」「ゆもじ(=湯巻)」など。
 
◆むしゃ‐ことば【武者言葉/武者▽詞】の意味
戦国時代、武士社会で使用された言葉。また、戦場で武士が使用した言葉。
 
◆みくに‐ことば【▽御国言葉/▽御国▽詞】の意味
日本語。漢語に対する、やまとことば。
 
◆まくら‐ことば【枕▽詞/枕言葉】の意味
1 昔の歌文、特に和歌に用いられる修辞法の一。
 一定の語句に冠してこれを修飾し、または語調を整える言葉。普通は5音、まれに3音・4音などのものもある。
「あしひきの」「たらちねの」「ひさかたの」など。冠辞。
2 前置きの言葉。
3 寝物語。枕物語。
「二つならべて―ぢゃ」〈西鶴大矢数〉
 
◆ほめ‐ことば【褒め言葉/▽誉め▽詞】の意味
1 ほめる言葉。賛辞。
2 歌舞伎で、客席から舞台の役者をほめる言葉。江戸時代には上演途中で、決められた観客が花道へ上がり、ひいき役者をほめる形式があった。
 
◆べいべい‐ことば【べいべい言葉/べいべい▽詞】の意味
《助動詞「べい」を多く用いるところから》関東地方特有の言葉。また、広く田舎言葉。べいことば。
 
◆はやり‐ことば【流=行り言葉】の意味
ある時期、世間の人々が好んで用いる言葉。流行語。
 
◆はやし‐ことば【×囃子▽詞】の意味
歌謡などで、歌詞の本文とはなれて、歌い出しの部分や中間・終わりに調子をとるためにさし入れる言葉。
 
◆はや‐ことば【早言葉】の意味
1 「早口1」に同じ。
2 「早口言葉」に同じ。
 
◆はやくち‐ことば【早口言葉】の意味
同音が重なったりして発音しにくい文句を早口にいうこと。また、その文句。
「なげしの上の長なぎなたは誰 (た) が長なぎなたぞ」の類。早口そそり。早言葉。早言。
 
◆はなし‐ことば【話し言葉】の意味
話したり聞いたり、音声によって伝えられる言語。音声言語。口頭語。⇔書き言葉。
 
◆はな‐ことば【花言葉/花▽詞】の意味
一つ一つの花に、それぞれふさわしい象徴的な意味をもたせたもの。バラは愛情、白ユリは純潔など。
 
◆はさみ‐ことば【挟み▽詞/▽挿み▽語】の意味
1 文章の間に挟み込む言葉。挿入句。
2 江戸時代、多く遊里で行われた隠語の一種。言葉の各音節の間に、他の音節を挟んでいうもの。
 ふつう前の音と同じ段のカ行の音節を挟む。
「あきれたひと」を「あカきキれケたカひキとコ」というなど。
 のちに、子供の言葉遊びとなり、現代ではバ行音を挟むものなどがある。唐言 (からこと) 。
 
◆にょうぼう‐ことば〔ニヨウバウ‐〕【女房▽詞】の意味
 室町初期ごろから、宮中に仕える女房が、多く衣食に関して用いた一種の隠語。
 のち、将軍家に仕える女性、さらに町家の女性にまで普及し、現代の一般語になったものもある。
 省略や言い換えを行ったものが多い。
「おでん(田楽)」「おひや(水)」「かもじ(髪・かずら)」など。御所詞 (ごしょことば) 。→文字言葉
 
◆なぞ‐ことば【謎言葉】の意味
謎になっている言葉。質屋のことを一六銀行、片思いのことを鮑 (あわび) という類。→一六銀行 →鮑の片思い
 
◆とち‐ことば【土地言葉】の意味
その土地だけで使われる言葉。方言。
 
◆とおり‐ことば〔とほり‐〕【通り言葉】の意味
ある世界やある仲間の間で用いられる言葉。また、世間一般に通用する言葉。
 
◆そえ‐ことば〔そへ‐〕【添え▽詞/添(え)言葉】の意味
1 付け加えていう言葉。
「自分の云い出した事を自分で打ち壊すような―を」〈有島・カインの末裔
2 助言。口添え。
3 古く、副詞・接続詞などのこと。
 
◆せい‐の‐ことば【制の▽詞】の意味
歌学で、聞きづらいとか、特定の歌人が創作した表現であるなどの理由で、用いてはならないと禁止した言葉。禁の詞。制詞。
 
◆逃げ言葉・逃言葉の用語解説 - 「逃げ口上」に同じ。
 
◆すて‐ことば【捨(て)言葉/捨て▽詞】の意味
「捨 (す) て台詞 (ぜりふ) 2」に同じ。
「お鉄さん。ちとお出んさいと―で出て行く」〈紅葉・二人女房〉
 
◆じょちゅう‐ことば〔ヂヨチユウ‐〕【女中▽詞】の意味
近世、宮中や将軍家などに仕える女性たちの用いた独特の言葉。
 
◆じょ‐し【序詞】の意味
1 序としての文章。前書き。はしがき。序文。
2 和歌や擬古文などで、意味上または音声上の連想から、ある語句を導き出すために前に置く言葉。枕詞 (まくらことば) は1句(5音)を基準とし、音数の制約があるが、序詞は2句以上にわたり制限がない。例えば「あしひきの山鳥の尾のしだりをの長長し夜をひとりかもねむ」〈人麻呂集〉の歌で、はじめの3句の部分は「長長し」の序詞である。じょことば。
3 演劇などで、開幕のときに述べたり歌ったりする前口上 (まえこうじょう) 。観客に内容を暗示したり、幕前の経過を報告したりするのに用いる。プロローグ。
 
◆しょうがつ‐ことば〔シヤウグワツ‐〕【正月言葉】の意味
1 正月の祝いの言葉。また、正月に使う縁起のよい言葉。海鼠 (なまこ) を「俵子 (たわらご) 」、鼠 (ねずみ) を「嫁が君」という類。
2 体裁のよい言葉。
「あとからはげる―」〈浄・忠臣蔵
 
◆しなせ‐ことば【▽為×做せ言葉】の意味
わざと丁寧に繕った言葉遣い。いきな言葉として、近世、花柳界や芸人社会で使われた。
 
◆さと‐ことば【里言葉】の意味
1 田舎のことば。くにことば。さとなまり。
2 「郭詞 (くるわことば) 」に同じ。
 
◆さかさ‐ことば【逆さ言葉/▽倒さ▽詞】の意味
1 反対の意味で使う言葉。「いじめる」を「かわいがる」という類。さかさまごと。
2 一語の音を上下逆にしていう言葉。「たね(種)」を「ねた」、「しろうと(素人)」を「とうしろう」という類。多く隠語として用いる。倒語。さかさまごと。
 
◆ざあます‐ことば【ざあます言葉】の意味
文末に「ざあます」を多用することばづかい。→ざあます
 
◆ごしょ‐ことば【御所▽詞】の意味
中世以後、宮廷に仕える女房の間で用いられた特殊な言葉。のち、幕府・大名の奥女中の間にも行われた。→女房詞 (にょうぼうことば) 
 
◆くるわ‐ことば【▽郭▽詞/▽郭言葉】の意味
江戸時代、遊里で遊女たちが用いていた言葉。「ありんす」「ざんす」など。里言葉。遊里語。
 
◆くり‐ことば【繰(り)言葉】の意味
言いにくい文句を、早口に誤りなく繰り返して言って、その度数の多いほうを勝ちとする遊戯。
 
◆くに‐ことば【国言葉】の意味
1 その国で使われている言語。その国の共通語・公用語。国語。
2 その人の故郷で使われている言葉。方言。国なまり。
 
◆くち‐ことば【口言葉/口▽詞】の意味
話し言葉。口頭語。
「我々の―は省略が最も自由で」〈柳田・国語の将来〉
2 「言葉」を強調した言い方。
「―たたかずと、早う連れていなっしゃれ」〈浄・女舞衣〉
 
◆きょう‐ことば〔キヤウ‐〕【京言葉/京▽詞】の意味
京都の人の話す言葉。優美な言葉とされた。京都弁。
 
◆かさね‐ことば【重ね言葉/重ね▽詞】の意味
1 意味を強めるために、同じ言葉、または同じ意味の言葉を重ねて用いること。また、その言葉。「降りに降る」「仮庵 (かりほ) の庵 (いほ) 」の類。
2 言葉の遊戯で、語頭に同じ音のつく言葉をまちがえずに言うもの。「生麦・生米・生卵」の類。
 
◆かざし‐ことば【×翳し▽詞】の意味
忌み詞の一。俳諧などで、正月三が日の間に、物の名を忌み、呼びかえて使う言葉。
「雨」を「おさがり」、「寝る」を「いねつむ」、「おきる」を「いねあぐ」という類。
 
◆かけ‐ことば【掛け▽詞/懸け▽詞】の意味
一つの言葉に同時に二つの意味をもたせる修辞法。
「立ち別れいなばの山の峰におふるまつとし聞かば今帰り来 (こ) む」〈古今・離別〉の歌で、
「いなば」に「立ち別れ往 (い) なば」と「因幡 (いなば) の山」の意味が、
また「まつ」に「松」と「待つ」の意味が含まれている類。和歌・謡曲浄瑠璃などに多くみられる。
 
◆かくし‐ことば【隠し言葉/隠し▽詞】の意味
特定の社会の中で仲間うちだけで使う言葉。隠語 (いんご) 。
 
◆かき‐ことば【書(き)言葉】の意味
日常会話ではあまり使われず、主として文章を書くときに使われる語句・語法。文章語。文字言語。⇔話し言葉
 
◆かえ‐ことば〔かへ‐〕【替へ▽詞/替へ言葉】の意味
合い言葉。符牒 (ふちょう) 。
「この若衆を墓原といへるは、一夜の情代銀三枚あげし―なり」〈浮・男色大鑑・六〉
 
◆かい‐ことば〔かひ‐〕【買(い)言葉】の意味
他人から言われた悪口などに対して負けずに言い返す言葉。「売り言葉に買い言葉」⇔売り言葉。
 
◆おき‐ことば【沖言葉/沖▽詞】の意味
漁師や船乗りが海上で使うことを忌む言葉。転じて、その代わりとして使う言葉。
「ながもの(蛇)」「こまもの(イワシ)」「えびす(鯨)」などの類。
 
◆えど‐ことば【江戸言葉】の意味
江戸中期以降、江戸で発達した言葉。在来の関東方言に各地の方言が影響を与えて、宝暦年間(1751~1764)以降に確立したといわれる。東京語のもととなった。江戸語。江戸弁。
 
◆え‐ことば〔ヱ‐〕【絵▽詞】の意味
1 絵巻物で、絵を説明するために書き添えた文章。絵巻物の詞書 (ことばがき) 。絵解き言葉。
2 詞書のついている絵巻物。
 
◆うり‐ことば【売(り)言葉】の意味
人を怒らせ、けんかをしかけるような言葉。⇔買い言葉。
 
◆か‐し【歌詞】の意味
1 歌曲や歌謡曲・歌劇などの、節をつけて歌う言葉。歌の文句。
2 和歌に用いる言葉。うたことば。歌語。
 
◆いれ‐ことば【入れ▽詞】の意味
ある語を構成する各音ごとに他の音をはさみこみ、特定の人だけに通じるようにした一種の隠語。
例えば、「やきもち」に「し」を入れて「やしきしもしちし」、「かね(金)」にカ行同段の音を入れて「かかねけ」とする類。
多くは遊里に流行した。
入れ子ことば。
はさみことば。
 
◆いるま‐ことば【入間▽詞】の意味
言葉の順序を逆に言ったり、反対の意味の言葉を言ったりすること。
「花の雲」を「雲の花」、「深し」を「浅し」というなど。
入間川が逆流した伝説に基づくとも、入間地方で多く用いられるからともいわれる。逆さ言葉。入間様 (よう) 。
 
◆いみ‐ことば【忌み▽詞/忌(み)言葉】の意味
1 宗教的な理由から、また縁起をかついで、使うのを避ける言葉。古くは斎宮で「仏」「経」などを、民間で婚礼のときに「去る」「帰る」、正月の三が日に「坊主 (ぼうず) 」「箒 (ほうき) 」などを忌んだ。
2 1 の代わりに使う言葉。斎宮で「寺」を「瓦葺 (かわらぶ) き」、「僧」を「髪長 (かみなが) 」、民間で「すり鉢」を「あたり鉢」、「梨 (なし) 」を「ありの実」という類。
 
◆いなか‐ことば〔ゐなか‐〕【田‐舎言葉】の意味
田舎の人が使っている言葉。
 
◆あめつち‐の‐ことば【天▽地の▽詞】の意味
平安初期の、手習いの教材。
仮名48文字を重複しないように使って作ったもの。
「あめ(天)つち(地)ほし(星)そら(空)やま(山)かは(川)みね(峰)たに(谷)くも(雲)きり(霧)むろ(室)こけ(苔)ひと(人)いぬ(犬)うへ(上)すゑ(末)ゆわ(硫黄)さる(猿)おふせよ(生ふせよ)えのえを(榎の枝を)なれゐて(慣れ居て)」という。あめつちのうた。
[補説]榎と枝はア行とヤ行の「え」を区別したと考えられ、この点から「たゐに」「いろは歌」より古いとされる。
 
◆あそび‐ことば【遊び言葉】の意味
話しはじめや話のつなぎとしてさしはさむ、内容には直接関係のない言葉。「あのう」「ええと」の類。
 
◆あそばせ‐ことば【遊ばせ言葉】の意味
「御免あそばせ」「お出かけあそばせ」のように、文末などに「…あそばせ」を用いる女性の言葉遣い。
転じて、女性のきわめてていねいな、上品ぶった口のきき方。
 
◆あずま‐ことば〔あづま‐〕【▽東言葉】の意味
東国地方の言葉。関東方言。
 
◆あい‐ことば〔あひ‐〕【合(い)言葉】の意味
1 前もって打ち合わせておいて、味方どうしであることを確認する合図の言葉。
2 仲間うちの信条・目標としていつも掲げる言葉。モットー。
 
◆げん‐ご【言語】の意味
音声や文字によって、人の意志・思想・感情などの情報を表現・伝達する、または受け入れ、理解するための約束・規則。
また、その記号の体系。
音声を媒介とするものを音声言語(話し言葉)、文字を媒介とするものを文字言語(書き言葉)、
コンピューターなど機械を媒介とするものを機械言語・アセンブリ言語などという。ことば。ごんご。げんぎょ。
 
◆げん‐じ【言辞】の意味
ことば。ことばづかい。言詞。「無責任な言辞を弄 (ろう) する」
 
◆ご【語】の意味
1 単語。「むずかしい語の意味を調べる」
2 口に出して言う言葉。「語を続ける」「語を遮る」
3 ことわざ。成句。特に、軸物に書いたもの。賛や詩に対していう。
 
◆こと‐の‐は【言の葉】の意味
1 ことば。言語。
「まことかと聞きて見つれば―を飾れる玉の枝にぞありける」〈竹取〉
2 歌。和歌。
「やまとうたは、人の心をたねとして、よろづの―とぞなれりける」〈古今・仮名序〉
 
◆げん【言】の意味
1 ものを言うこと。言った言葉。「本人の言を信じる」
2 ⇒パロール
 
パロール【(フランス)parole】の意味
言語学ソシュールの用語。「言 (げん) 」と訳される。社会制度としてのラングに依拠しながら、個々人が個々の場面で行使する言葉。→ランガージュ →ラング
 
◆じ【辞】の意味
1 ことば。「歓迎の辞」
2 漢文の一体。楚辞の系統をひく様式で、押韻して、朗誦に適した文。陶淵明の「帰去来辞」など。
3 単語を文法上の性質から二つに分類したものの一。
詞 (し) に対する。
単独では文節を構成しえず、常に詞(自立語)に伴って文節を構成する語。
助動詞・助詞がこれに属する。
時枝誠記 (ときえだもとき) の学説では、助動詞・助詞のほか、接続詞・感動詞などもこれに含まれる。